「音羽ちゃん?」



「あっ……楓のお母さん……こんにちは」



「音羽ちゃんも来てたのね。楓もきっと喜んでるわ。楓からいつも話聞いてたわ。音羽ちゃんはピアノがとても上手で素直じゃないけど、誰よりも優しい子だって」



「そんな……ありがとうございます」



楓、私のことそんな風に思ってたんだ。



「こないだのテレビでも見たわ。
楓も嬉しそうだったわ」



「なら、良かったです」




「……和樹くん、立ち直れた?」



楓のお母さんは和樹のこと心配してるようだ。


「いえ、まだ……」



「そう……」



だって恋人だったんだ。



楓の病状もあってかデートも出来てなかったって千里が言ってたっけ。


余命がわかってたとしても、悲しいものは悲しいよね。やっぱり。




気まずい雰囲気が流れる。