「楓、それ、本当……?」
音羽は絞り出すように言った。
「うん。本当、だよ……」
音羽は母ちゃんと上手くいったのだろうか?
和解できたんか?
最初に聞こうと思ったけど楓のこともあって聞かなかった。
でも戻ってきたなら、とりあえずは大丈夫か。
「和樹、もしかして会いたいって言ったの楓が残りわずかだから?」
「うん。楓が音羽と会うことを望んだ。ピアノ聴きたいって、な?」
「あっ、うん! そうだよ!」
「……じゃあ、音楽室行こっか」
「やった! 和樹くん行こっ!!」
「楓テンション高すぎ。あまり興奮すんなよ。ほっとけねーわ、やっぱり」
そう言って楓の頭をなでると、音羽はさっきより表情が暗くなったように見えた。



