小さな約束





「音羽、お疲れ様」



「有澄奈こそお疲れ」




有澄奈も私に気付いたのか話しかけてくれた。



「今回はもう駄目ね。
……あんなに練習したのに悔しい!」



「有澄奈、次は行けるよ!」



「……うん」



やっぱ元気ないのも当然か。



有澄奈が血をにじむ努力をしたのに失敗しちゃったんだから。



私も同じ状況だったら有澄奈以上に落ち込むと思う。



私たちの間でしばらくの沈黙が続いて、紙を持ったスーツ姿の男性たちが現れた。



誰が予選突破か書いているんだ。



「今から予選突破した方々を読み上げます」




「────、Otoha Izumi、」




えっ。




「嘘……やったー!!」