「最初音羽に会いたいって言ってたじゃない!」


「そういえば、そんなこと言った気がする」



和樹くんは今思い出したかのように納得した。



和樹くんは優しいんだな……。



自分のことをわすれてまでこんなに頑張ってくれて、音羽もそんなところに惹かれたんだろうな……。




「良かったら夜ご飯うちで食べない?」



「えっ、いいんですか?」



「だって1人じゃなんだもの。寂しいわ。
音羽のこと随分話してなくてよくわからないから、音羽のこと聞かせてもらってもいいかしら?」



「じゃあ、お願いします」




それで、音羽がコンクールで優勝したらお母さんも喜んでくれんじゃないかって考えてずっと弾き続けたことを知った。




私はその代わりに和樹くんが知らないことを話した。



それは音羽の名前の由来。



音楽は色んな気持ちに与えてくれる。



人生を変えられるかもしれない影響を与えてくれる。



だから、その"音"みたいに誰かの人生を"羽"ばたかせられる存在になってほしい。



そしたら本当にピアノでたくさんの人々に影響も与えてくれて、願い通りだった。