「ピアノのことが好きだって思い出せたのだって和樹のおかげ。私たちは夢を叶えるためにお互いを支え合おうって約束した」



「約束……?」




「私はピアニストで、和樹はサッカー選手。私はいまだに和樹が何かあったか分かんない。けどアイツが話すまで待つ」



「音羽は……和樹くんのことが好きなんだね」



「今は違うけど好きだったよ……。
ところでお母さんは和樹と何話したの? 聞いてもいい?」



お母さんは嬉しそうに頷く。



「どうして私と話そうと思ったのか?
私のこと嫌いなんじゃなかったっけ?
……とか分かんないことだらけだから教えて?」



「……確かに最初は音羽の顔も見たくなかった」



「……」



過去の話なのにその事実があったことに傷ついた。



「音羽が言ってた通り、ピアノはお父さんを思い出して嫌になったわ」




私にとって始まりは最悪な一言から始まった。







ここから語り手をお母さんに変わります。