「ん? コートのこと?
泉さん薄着し過ぎ。着な。俺は平気だから」
「じゃあ、着ます。……ありがと」
ぷいっと綾瀬から背いて小さく言った。
「泉さんってそんな顔するんだ……意外」
「そんな顔ってどんな顔!?
しかも意外って何よ!? 私だって人間!」
「教えない!」
「ケチっ」
たわいもない話をしてたら、警察が来ちゃって、私たちは仕方なく帰ってしまった。
「あっ、持ったままだった。返さないと」
家に着いて、お母さんとは相変わらず。
部屋に入ってから、上着を着たままだと気付いた。
今度返そう。
と思って月曜日学校に行ったら綾瀬は休みだったので、火曜日に渡しといた。



