小さな約束





次の日。その日は土曜日だった。


何かしたというなら1つ。


私は久しぶりに家の鍵盤に触れた日だから。実に3年ほどだ。



お母さんは仕事休みだから、ゆっくり寝てた。


と、思ってたけど……




「なんであんたピアノ弾いてんのよ?
もう辞めたんじゃなかったっけ?」



いきなり、冷めた声が聞こえる。


ビクッとして振り返ると、お母さんがいかにも嫌そうな顔をしてた。




「朝から、嫌なの聴いたわ。
私どこか出かけるから」



「……っ」




私のピアノが嫌って言われちゃった。



それは私の存在をどこか否定してるように感じてしまって、絶望してしまった。