小さな約束




『ピィ──────ッ』



機械音が鳴り響いた。



看護士さんたちも手を動かすことを止めて、お母さんは崩れた。



「申し訳ありません……!」



お父さんは亡くなった……



バカな私でもそれは分かった。




後から話を聞いたら心筋梗塞だったらしく、突然起きることが多い。


突然のお父さんの死はお母さんを大きく変えてしまった。



私を無視し始めた。



元々、お父さん似の私をみるとお父さんのことを思い出してしまうから、顔を見たくないと毎日のように言われるようになった。



それは私にとって大きな傷を抱えることになった。



大好きなピアノのコンクールで優勝どころか入賞も無くなってしまい、お母さんに冷たい目を受けることになったんだ。



お母さんに名前で呼ばれることも全くなくて、傷は深まるばかり。



でもコンクールで何回も優勝したらお母さんが見てくれるかもしれない。



そんな子ども心を抱きながらがむしゃらにピアノを弾き続けた。