「そんなこと言われても、私は言いたくないの! 分かる? ってか気付いてよ!」
「音、ちゃん……?」
「私だって、私だって、ずっと前から……」
どうしよう。止まらない。パンクしちゃう。
楓に言わないつもりだったのに……。
「和樹が好きだった!! 私は楓よりも前にずっと、ずっと……! 約束のために私はピアノを弾き続けてるの!!」
誰も悪くないって信じたい。
こんなこと言ったって意味ないのに。
「私は和樹と約束した関係!
お互いの好きなもので1番取ろうって!
私にピアニストの目標を与えてくれたのは、誰でもない和樹なの!」
私は、はっとなってうつむく。
「音ちゃん、ごめんなさい。そんな大事なこと気付けなくて……。私、自分のことばっかで音ちゃんのこと考えられなかった!」
楓は少し悲しんだ、辛そうな声を出す。