そろそろ来るな……。



時計を見て、私は英語のノートを取り出す。



廊下の方から大きな足音が聞こえてきた。





「音羽ー!! 英語の宿題見せて!」




やっぱり。



「はいはい。いつになったらちゃんと宿題するのよ?」



「やろうとしたんだよ? でもね、全く出来ないの!!」



「これ復習問題なんだけど……。よくここに入れたよね」




宿題忘れ常習犯こと小野 千里(オノ チサト)。



本人曰わくやろうとしても出来ないんだそうです。




勉強が嫌いで苦手な千里に毎日宿題を見せてあげてるんだ。



けど、千里は陸上部の期待の新人で短距離専門。風の便りでは、高1なのに50m走のタイムが6秒台前半だそうだ。



宿題は毎日の朝練を終わらせてからの20分間でやってる感じだ。





楓は苦笑いしてこっちの様子をいつも見守っている。