今更気付いたけど、浴衣だからか、周りからの視線が痛いんだけど。


気にしないフリをして楽譜を見つめる。




「でも難しい曲をチャレンジするのはいいことじゃん! 氷室さんもオーストリアへ留学するんでしょ? だったら、オーストリアで一緒に連弾しようよ!!」



氷室さんには留学することを話した。



なんと、氷室さんもおんなじところにおんなじ時に留学するんだって!



氷室さんはライバルだけど、いい友達でもあるからオーストリアでもよろしくだって。




「連弾……いいかも。やりたい!」



「私は上の段のところやるから、氷室さんは下の方でいい?」



「いいね! やりましょう!」



「じゃあ、楽譜買お!」



「うん!」



今からでも楽しみだなぁ……!



「泉さん、楽しみな余韻に浸ってるところ申し訳ないけど時間大丈夫? ほら、花火大会とかあるんじゃなかった?」




「そうだった!! ありがとう氷室さん!
私もう行くね! また今度連弾しよ!」




氷室さんは微笑みながら見届けた。