「じゃあ、試合頑張って」
「おう! 行ってくる」
「うん」
楓のことが好きな君。
君のことが好きな私。
三角関係が出来上がった今、私に出来ることは和樹たちの笑顔を見るために協力すること。
選手が入場する時、和樹が遠くからでも見える。
すごいな……。こんな大きいところに立って試合するなんて。
和樹が遠くにいる人に見える。
新鮮な和樹のユニフォーム姿は他の誰よりもかっこよかった。
私しか和樹の同学年の女子がいないから、
独り占めっていうのもあれだけど、
和樹のユニフォーム姿を見るのが私だけと思うと、嬉しく感じた。
試合の成り行きを見守る中、相手のチームが動き出した。
試合前半16分。
相手チームの先制点が決まってしまった。