私はもう一度和樹を呼んだけど、和樹は振り返らなかった。
「おい、よくも無視しやがったな!!」
こうなったら……!
私は勢い良く和樹の背中をぶっ叩いた。
「んな!? お前いってーよ!! 少しぐらい手加減しろ!!」
「和樹が無視するからでしょ?」
「俺が無視するわけねーだろ!?」
「ついさっきしていましたが?」
「あー、もう悪かったけど、暴力は絶対やめろよな? 一応、だけど音羽は女だし」
和樹って私のこと女だって思ってくれた?
……んなわけねーか。
一応、が強調してんし。
けど、私は和樹が無視したことにむきになり過ぎて、和樹の顔を見落とした。
ようやく返事した時、
和樹は頬をほんのわずかに赤く染まっている
ことに───