【短編】*甘情メランコリー*





『もしもーし、もしかして水樹の彼女ー?』





電話に出たのは、水樹の低い声じゃなくて。

女のひとの高い声だった。





「え、これ、水樹の電話じゃ……」



『あれぇ、もしかして本当に彼女?

ごめんねー、水樹はいまあたしたちと遊んでるから〜』




ぎゅっと、掴まれたみたいに痛む心臓。


もう、11時なのに。

まだ遊んでるの?
…しかも、女の子と。



なんて、だめだ、友達付き合いに口出すような、重い女になりたくないのに。





『もしもしー?

水樹に用だったら伝えておこうかぁ?』





そんな声に唇を噛み締めた瞬間、通話口の遠くのほうで聞こえる、焦った声。




『ちょ、お前何勝手に人のケータイ…』





水樹…。


彼の声を聞いた瞬間、なんだか急に悲しくなって。

思わず、電話を切った。