デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

家族の様子を、桜は見つめていた。

…………。


――――“そなたを見ていたら、両親に愛されなかったとは思わぬがな”


ふっと、誰かの声がよみがえった。

誰だっけ。この、優しくて深い声。
どうして、胸が苦しくなるんだろう?

会いたい。

………誰に?

眠りたくない………。


ああ、でも。


……ごめんね、お父さん、お母さん、亨。

いつも、そんな顔をさせてしまって。でも、ありがとう。

心配しないで。

もうきっと、私の事なんか、考えなくて良くなるよ。

何だか、そんな気がするの。
誰にも迷惑をかけなくてすむところに、行ける気がするの。

それも、とっても簡単に。

このまま眠ったら、きっと。


また、涙声の母が彼女の名を呼ぶ。

「桜……桜………!帰ってきて。お願いよ、帰ってきて……!桜………!!」

ふっと、その言葉に眠りかけた意識がわずかに目覚める。

ああ、そうだ。そうだよ…………帰らなきゃ。

帰らなきゃ…………。