圭哉くんの電話の声が、耳から離れてくれなくて。

目を閉じると、より鮮明に蘇る。




久しぶりに聞いた圭哉くんの声は、思ってたよりもずっと低くて、綺麗で…




「ひゃ〜っ/////」




思い出すだけで、恥ずかしさに襲われる。


──────ゴンッ


ベッドの上をゴロゴロと転がり回っていた私は、思い切り壁におでこを強打。
大魔王様の呪いだ!絶対そうだ!




『好き』の力はすごいね。



あんなに空っぽだった心が、たった10分の電話でこんなにも圭哉くんに満たされてる。



「……ねぇ、やっぱり…」




好きだよ。



誰に聞こえるわけじゃないのに、肝心な部分は声に出して言えなくて


…心地いいベッドの上で、どんどん深い眠りに誘われる。



きっと、パン屋の前で見かけた模範とも言えるバーコードヘアのおじさんとか、スーパーで見かけたおひとり様1個限りを3個くらい小脇に抱えてシレッとレジに並んでるザマスおばさんとか…


言っちゃえば、インパクトが強すぎて寝る前に思い出しちゃう人なんて沢山いるけれど


目を閉じて鈴木小春が1番に思い浮かべる人は、今日も明日も明後日も…圭哉くんだと思うんだ。


そんな毎日が、私はすごく好き。