だから、



「お願いします。別れて下さい。」



「……何のつもりだ?」



教室のど真ん中。
コソコソ話していた声のボリュームを、MAXにすればクラス中の視線が私たちに集まる。



私と圭哉くんは、偽恋人。
周りから見たら、本物の恋人。



つまり、


「おい、別れ話してんぞ…」

「ちょ、藤崎くんが振られる側?!有り得ない!」

「藤崎くんが可哀想〜!!」



これで、嫌でも圭哉くんは私と別れざるを得なくなったって訳だ。




「もう、圭哉くんの傍に居たくないの。
うんざりなの。疲れたの…。」



傍にいても、この片思いは実らないもん。
そんなの辛いだけじゃん。


ね、そうでしょ?


見つめる先、何を考えているかなんて到底読めない圭哉くんのポーカーフェイス。

その口元が静かに動いて



「もう知らねぇ、好きにしろ。」




私を突き放した。




「っ、」



「お前みたいな面倒くせぇの、こっちから願い下げだ。失せろ。」



「…っ、バイバイ。
今までありがと。」



圭哉くんの顔からは、一切表情を読み取れない。きっと、口から出た言葉すべてが本音何だってことは、気迫で伝わってきた。