「どっちにしろ、お前は俺よりケーキだろ。お前って、ホント昔から可愛げのない奴だよな」



真っ白な歯を見せて、笑いながらカズくんが言う。

一つ年は違えど、小さい頃からカズくんとは友達のように過ごしてきた。

カズくんからは、いつも、太陽の香りがする。

こんがりと焼けた肌、元野球部らしく短く切り揃えられた黒髪、努力の染み付いた身体と─── 希望に満ち溢れた未来。

小さい頃から野球が好きだったカズくんには、ずっと大切にしていた夢があった。


『俺、将来は学校の先生になって、自分の生徒に野球を教えるんだ!』


同世代の男の子たちが『野球選手になる』『サッカー選手になる』と壮大な夢を口にする中で、やけに現実的で子供らしからぬ夢を抱いていたカズくん。

はじめて聞いた時は、『もっと楽しい夢にしたらいいのに』なんて、生意気なことを思ったのを覚えてる。

けれど、月日が経つに連れ、周りが現実という壁に突き当り挫折していく中で、カズくんだけは一途に自分の夢を守り続けてきたのだ。

今年の夏に野球部は引退してしまったけれど、最後の夏にはエースピッチャーとしてマウンドに立ち、部長としても野球部の皆を引っ張っていた。

部活だけでなく、学業にも励んでいたカズくんは、テストだっていつも上位常連者。ついでに、学級委員長なんかも務めている絵に描いたような優等生。

昔から、誰もが認める努力家なカズくん。

私とは到底似ても似つかない……とても眩しい、幼馴染だ。