「結局、やりたいことの中で、一番やりたくないことが、本当は私の一番やりたいことだった」

「ユリ……」

「例え希望がなくても……その先に、未来がなくても。それでも、その未来を正面から受け止めないと、私は後悔すると思ったの」



─── 未来がないという現実から、逃げない。



「いつか、変わらなきゃって思ってた。でも、その " いつか " は、いつまで待っても来ないから、自分から迎えに行くことにしたよ」



一枚の銀杏の葉が、ユリの髪に触れて止まった。

黄金色に輝くそれは、とても綺麗で。それに負けないくらいに綺麗な笑みを浮かべたユリは、とても、とても輝いていた。



「今から私、ハヤテくんに告白してくるね」

「うん……、わかった……っ」

「立派に、玉砕してくるから!ミウは、ここで待ってて!」



私に背を向け、部室棟に向かって足を踏み出す彼女の背中を、眩しく思いながら追いかけた。

けれど、その途中。一瞬、足を止めた彼女が振り返る。

思わず目を見開けば、どこか照れ臭そうに笑ったユリが私を見て、ゆっくりと口を開いた。