「美雨の、未来を変えたい」



繋いだ手に力を込める。

ギュッと握り返された手が、私にも前を向くための勇気をくれる。



「だから、ばあちゃん、俺に教えてほしい。どんな些細なことでもいいから、ばあちゃんが知っていることを全部、俺に───」

「お願いします!! 何か、少しでもいいので、知っていることがあれば、雨先輩と私に教えてください……!!」

「……美雨、」

「私、自分の未来を変えたいんです!!」



雨先輩が言い切るより先に、私はトキさんに向かって叫ぶと深々と頭を下げた。

未来を変えたいと願ったのは私だ。

雨先輩に、その方法を知りたいと迫ったのも私。

だから今更になって私が怖気づくわけにはいかないし、私にはもう怖気づいている時間もないから少しでも多くの情報を───



「……えっ」



と。突然、ガタン……ッ!と、部屋に大きな音が響いた。

互いに向かい合っていた私たちは、トキさんの戸惑ったような声に驚いてから、誘われるように音のした方へと振り向いた。

そうすれば、そこには先程エレベーターの前でぶつかった男の子が立っていて、私たちは思わず目を見開いて固まってしまった。