「前にも言いましたけど。雨先輩が未来を教えてくれたから、私は残された毎日を、悔いのないように必死に生きられるかもしれないんです」

「…………」

「それに、雨先輩のお陰で、私はまだ希望を持ててます。雨先輩がいるから私は独りじゃないと思える。何かできることがあるかもしれないって思える。それに─── 」



強く。強く、手を握った。

冷えきっていた手はとても冷たいはずなのに、どうしてか、とても、とても温かい。

独りじゃない。最後の最後まで、雨先輩がいてくれる。

雨先輩は、この手を離さないでいてくれる。

確証なんてない。だけどきっと、絶対だとそう思う。

たったそれだけの事実が何より私の心を強くして、支えてくれるのだと、私は今この瞬間に、気が付いた。



「最後まで、私を見届けてください。途中で勝手にいなくなったら、死んでから呪いますよ」



言いながら笑えば、雨先輩が驚いた顔をしてから破顔した。

 

「呪われるのは、嫌だな」



太陽より眩しい笑顔。はじめて見る無邪気な笑顔に、胸の奥が熱くなる。

あと、3日。

私はきっと、未来を探して精一杯走ってみせる。