ミーンミーン……


「はい、じゃあ次は42ページを開いて」


蝉の音と先生の声の掛け合いを聞きながら、うたた寝を始めること10分。


冷房効かなくて扇風機だけで暑いし、問題分かんないし、先生の声がほどよい子守歌に聞こえるし。言い訳を頭に浮かべながら教科書を開く。


補習の生徒は、学年の3分の1ちょいはいると思う。相当悪かったんだな、こりゃ。


「はい、天木。次の数式の答えをどうぞ」


あー、それ今悩んでた問題なのに。あの先生、チラチラ見ると思ったら、私を当てるためだったのか。


「どうしても答えなきゃダメでしょうか?」


「まだ解けてないんだな?」


図星。


「これ昨日も解いた問題だぞ。ちゃんと復習しろよー。はい、次の問題は……」


そのまま補習を続ける先生。


復習はしたんだよ、ううん、復習をしたつもりなんだけどね。あることが私を邪魔するんだよ。


そう、藤山の存在だ。