「誰にも会いたくない……」


「こそ泥みたいに隠れちゃって。まぁ、無理もないか。次科学で移動教室だから行くよ」


「ちょ、ちょっと待ってー」


一華ちゃんに急かされ、周囲を気にしながら科学の準備をする私の心は、今、とてつもなく憂鬱だ。






【あの告白は天木にだからな】


あの日、文化祭の終わったあの後、約束通り圭吾くんからのラインが来た。


【了解です】


そのラインに対して、かしこまった返事しか出来なかった私。それから既読はあったけど、圭吾くんからの返事はなかった。


文化祭後すぐの登校。登校する時から同じ高校の女子だけでなく男子の間で、圭吾くんの告白話で持ちきりだった。


『ねぇ、圭吾くんからライン来た?』


『来てないよー。私じゃなかったみたい』


そんなやり取りを何回耳にしただろう。


すみません、来たのは私なんです。そう思いながらその子達の間をすり抜けて、教室まで辿り着き一華ちゃんの元へダッシュしたのだ。