赤き死神は斬撃の歌を纏いて覚醒す

部活も終われば、あとは直帰する。

学年でも優等生に入る亜希子は、鞄をカゴに、竹刀の入った袋を肩にかけ、自転車に乗った。

空は、すでに暗く黒く深い。

校門を出たところからすでに、夜行列車の窓から光が漏れたような、等間隔に光る街灯の明かりが、すべてになっていた。

まるで水溜まりのように、丸く白く照らされるアスファルトを、快速で帰宅する。

亜希子の帰路は、昼間に報道されていた通り魔事件の連続発生区域を、見事に通過する。

自然、ペダルをこぐ足にも、力が入っていた。

そして、

亜希子は、

突然真横から殴り倒された。

「ぃ――っ!!」

盛大な音と共に自転車が倒れ、体が投げ出される。

左脇腹から走った衝撃で亜希子はおもしろいほど宙を飛び、電信柱に右肩からぶつかった。

吹っ飛ばされた時、電信柱に衝突した時、受け身の間もなく地べたへ落下した時とで三度、体を打つ。

口の中に、下手な試合で何度か味わったことならある、鉄臭さを感じた。

目を、しかし、閉じない。