誠狼異聞―斎藤一、闇夜に駆けよ―



「おぬしらの言いたいことは、よくわかった。新撰組の中には位の上も下もなく、一丸となって誠忠に励みたいという心意気、頼もしく思う。


そのためには、誰に対しても妥協することなく、正しいと信じる道を進む武士の精神も、天晴【あっぱれ】である。


ただ、不服や虚偽があれば自分らか近藤かが腹を切るなどと、一足飛びに刀を持ち出すのは、しばし待つがよい」



刀を持ち出すことを一足飛びと呼ぶのは、どういうことだろうか。


士道に刀は欠くべきではない。


容保公自身、武士の治める世において一国の藩主であり、京都守護職を司る重役であるから、その体から刀を離すときがあってはならぬはずだ。