永倉と原田が中心となり、専横とも取れる近藤の態度を批判する書面をしたためたのは、今だ残暑の厳しい秋八月の半ばのことだった。
近藤勇の非行五箇条という尖った表題が、原田のすっきりとしつつも豪快な字で記された。
永倉が、斎藤たち居合わせた者ひとりひとりの目を覗き込むようにして語り掛けた。
「新撰組は、このままじゃいけねえ。いつか、どこかで、何某【なにがし】かの道筋を決める必要がある。
その時が今だと、俺や原田は考えている。近藤さんにも、そのへんをきちっと考えてもらいてえ。
だから、この五箇条を持って会津の殿様、松平容保【かたもり】公に直談判しに行く。
俺と原田は命を懸けて新撰組の行く末を案じているんだと、容保公にもわかっていただかねえと、屯所の中だけで話をしてたんじゃ先が見えねえ」



