誠狼異聞―斎藤一、闇夜に駆けよ―



斎藤は黙していた。表情もなく、じっと口を結んでいるのは、いつものことだ。


口を開いた者もいた。


永倉新八と原田左之助である。


食客として試衛館に出入りしていた永倉と原田は、二人とも唐竹を割ったような気性の持ち主で、誰に対しても、はっきりとした物言いをする。


であればこそ、上洛以前からの深い仲である近藤に直言することも厭【いと】わなかった。



「近藤さん、ちょっと思い違いをしてやしませんか? 最近のあんたは、どうも以前とは態度が違う。


あんたは俺たちの御主人様じゃあねえ。俺たちはあんたの同志であって、家臣じゃねえんだ」