誠狼異聞―斎藤一、闇夜に駆けよ―



火災を免れた二条城で幕臣の集まりがあるからと、身なりを整える近藤の姿を見ながら、斎藤は違和感を覚えた。


そして、明確な意志を持ってしまっている自分に気付き、すっと喉が干上がるように感じた。



このところ、何かにつけて考え込んでいる。


よくない傾向だ。


考えるのは、斎藤の担うべき役割ではない。


理念も思考も感情も、走狗である斎藤には不要だ。


余計なことを考えるな、思うな、感じるな。


見るための目と聞くための耳が鈍るようなことをしてはならない。