誠狼異聞―斎藤一、闇夜に駆けよ―



今更【いまさら】それを言われても、どうにもならない。


永倉や藤堂と初めて出会ったのは、もう十年以上も前のことだ。


あの頃に比べたら丸っきり変わっちまったよ、と胸の内で呟いて、斎藤は永倉に背を向けた。



「一本気の一の名が似合わないなら、捨てる。捨てて、二郎とでも名乗るさ。二心ありの二郎、と」



本当はもうとっくに、二心ありの二郎と名乗るべきなのだ。


斎藤と勝の繋がりを知らぬ永倉に、何一つわかっていないくせにと、罵声をぶつけてみたくなった。


洗いざらい吐き出して、いっそ剣など捨ててしまえたら、俺はようやく笑えるのだろうか。