誠狼異聞―斎藤一、闇夜に駆けよ―



「土方さんから検死を頼まれたもんでな。死体をここに放り出していくわけにもいかねえし、応援を呼んで持って帰る。


斎藤は、その前に行った方がいいぞ。それにしても、相変わらずいい腕だ。すぱっと見事にやってくれたな」



「試合では、俺より永倉さんが強い」



「試合はともかく、実戦で一番強いのは斎藤だろうよ。神道無念流【しんとうむねんりゅう】の俺は、力任せの一撃必殺で打ち込むのが流儀だ。わかりやすいことこの上ねえ。


我武者羅【がむしゃら】に噛み付くみてえな沖田たち天然理心流も、何を仕出かすかわからなくておもしれえが、斎藤の左利きの剣は一際強烈だ。


しかも、心を殺したような目で、声まで殺して振るう剣だが、斎藤の剣は熱い。不思議な男だよ、おまえは」