誠狼異聞―斎藤一、闇夜に駆けよ―



初めの頃は、藤堂にも伊東にも呆れられた。


とはいえ、彼らも酒量が増えている。酔わねば眠れぬという。


酒が強い斎藤は、そもそも酔えない。


何かに没頭して憂【う】さを忘れたいとき、今までの斎藤なら、剣術稽古で事足りていた。


それが最近、どんなに汗を流しても、くたびれ果てるまで剣を振るっても、晴れ間が見えない。


眠ることができない。



斎藤が酒に酔えない代わりに女を買うのだと、それは御陵衛士の面々も既に知るところとなっている。


祇園通いが黙認されるおかげで土方との連絡が疑われずに済むのは、皮肉な副産物だ。