誠狼異聞―斎藤一、闇夜に駆けよ―



伊東の説く理想は、一和同心、との合言葉に総括される。


日本中が争い事を止め、心を一つにする、という意味である。


京都の公家社会を政治の中心とし、各官庁や各地域の代表者が広く集まって合議を行う。


国民皆兵の制度を取り、ひとりひとりに自衛と国防の意識を自覚させる。


港を選んで外国船を受け入れ、貿易と交流によって、先進的な文物を日本の国政改革のために導入する。



伊東は、徳川家による独占的な政治は終結させるべきだと言う。


その点では確かに伊東は倒幕派であるが、特権を排除した一大名としての徳川家にも合議に加わってもらいたいと考えている。


徳川家を取り潰そうだとか、江戸を焼き討ちにしようだとか、過激なことを主張するのが倒幕派の主流ではあるが、


伊東はむしろ攻撃的な倒幕派を、新撰組のような佐幕派よりも嫌っていた。