「元気ねえぞ、斎藤。おまえがこっちに来てくれるとは思わなかった。
試衛館の頃から近藤さんたちには世話になってんのにさ、すぱっとさよならなんて、こんなことするのは俺だけだと思ってたんだけどね」
「違う。永倉さんや原田さんも、藤堂さんと同じだ。信じるものが近藤さんたちと違えば、自分を曲げない。真っ直ぐ進む。非行五箇条のとき、そんなふうだった」
「ああ、なるほど、そうだったな。今、伊東さんの物の考え方に同調したのが俺と斎藤だけだって話であって、みんな強情っ張りだよな。
総司だってさ、伏せってなけりゃ、どう動いただろう? まあ、総司は案外、何も考えてないから、好きな人にくっ付いていくだけかもしれねえが」



