反対言葉。

「サボったんですか。悪い人ですね」

「ばーか、こういう場合はサボタージュには該当しないんだよ。計画的戦略だ計画的戦略」


胸を張って宣言する高良さんに、もう一言だけ返しておきたくて、わたしはほとんど義務感で口を開いた。


「何が戦略ですか。ただの失敗です」

「かもな。まあいいから言わせろよ、雑草」

「いやです」

「言わせろっつの」


高良さんは、ゆっくりと息を吸って。


「待ってる。一緒に受けよう」


それが珍しく、緊張しているような声音だったり、して。


「返事は?」


促しに思わず急いで頷く。


大きく下げた顔を上げてから電話だったと思い出してはっとして、はい、とくぐもった了承を付け足した。


「待ってるから」

「はい」

「約束だからな」

「はい」


よし、守れなかったらお仕置きなー、などと物騒なことをのたまうので、わたしは思わず突っ込んだ。


「……ずっと思ってたんですけど」

「ん?」

「高良さんのその超絶俺様理論はなんなんですか」