反対言葉。

その後、連続してCを取って、わたしは目の前が真っ暗になった。


一回だけならたまにはこんなこともあるさ、で済む。頑張れる。


でも続けてだ、母は敏感になりすぎて家が息苦しい。教室もどこかピリピリしている。


何か、……なにか。


すがれるものを求めてわたしはスマホをいじった。見つめた。


そうして、高良さんを見つけた。


「お願い」


たすけて、たからさん。


初めてかけた電話に密かに緊張しつつ、息をつめてじっと待つ。


高良さんは今にも切れそうなコールを重ねて、やっと電話に出てくれた。


「珍しいな。どうした、雑草」


なぜか、久しぶりに聞く「雑草」に、ひどい呼称なのに、無性に安心する。


「高良さん、お願いがあります」

「おう」


言ってみ。


軽い返事はいくらかわたしを浮上させたけど、やはり震えはとまらない。


意地で押さえつけて、わたしは至って平坦な、なるべく普通の声を出した。


「頑張れって、言ってください」