反対言葉。

「……ナンパですか?」


いぶかしむわたしを一刀両断。


「あほ抜かせ。何が悲しくて雑草ごときなんかをナンパしなくちゃいけないんだ。厚意だボケ」


ごときになんかにボケときた。てひどい。


というかこの人は本当に、ほんっとーに口が悪い! 悪すぎる!!


「好意じゃないですか!」

「厚意だ!」


高良さんはご丁寧にスマホのメモ帳に漢字を打ちつけると、ずずいとわたしに突きつけた。


「確かに」

「確かに。じゃねえよ。最初から厚意だって言ってんだろうが」


わざとらしいため息を大きく吐いて、誘うようにあごをしゃくってみせる、高良さん。


「で?」


流し見られて戸惑った。


あなた無駄にイケメンなんだからそういうかっこいい動作をするんじゃないですよ、まったく。


でも、その意味は分かる。で、答えは? ということだろう。


高良さんのおかげでこの学校が好きになれそうだった。入りたい学科も見つかった。


情報を集める手段は、多い方がいい。ひねくれて意地悪なところがあるのが困るけど、この優しい人がいいと言ってくれるなら、なおさら。


「お手数おかけしますが交換してください」


こちらも挑むつもりで頭を下げてから強く見上げると、目の前に綺麗で意地悪な笑顔があった。


「上出来」


結論。高良さんはずるい。