反対言葉。

カフェテリアを出る際、出口付近に置かれた棚の上に陳列されたクッキーを見つけ、「〇〇大学」の文字に、思わず手に取った。


「やめとけ。そんなクッキー普段は見たことないから」

「そうなんですか?」

「そうなんだよ。あれだろ、オープンキャンパスに来た何も知らないいたいけなお前みたいなカモ見つけてボロ儲けしようっていうことだろ」


どこかの商魂たくましいサークルが企画したに違いないから、金の無駄だしやめとけやめとけ、と注意する高良さん。


「でも、お土産欲しいですし」


雰囲気を味わえればいいので、別に今日明日限りのものでも構わない。


「……お前、絶対将来カモにされるタイプだな。悪徳商法とかすげえ引っかかりそう」

「余計なお世話ですよ!」


反論は力がこもった。わたしはそんなに不用心じゃないです。


むすりとふてたわたしに、暑そうに髪をかき上げた高良さんが聞いた。


「お前、コーヒーは好きか」