反対言葉。

「パンフレット持ってるか。青い表紙のやつ」

「あ、はい。たぶん」

「じゃあ見てみ。終わってんぞ」

「え!?」


まさかのお達しに慌てて確認した文面によれば、確かにそう記してあって、しかも人数制限つき。


肩を落として高良さんに頭を下げる。


「お願いします……」

「ん。任された」


立ち上がった高良さんにならって椅子を引き、なんとはなしに隣に並ぶと、じい、と見下ろされた。


「何ですか?」

「お前、ちっさいのな」


物珍しげに頭をぐりぐり撫でる手を振り払う。


「いいじゃないですか別に! 何ですか!」


先ほどまでは必ずどちらかが座っていたから分からなかったけど、身長差がかなりある。


わたしの頭は高良さんの肩より少し下くらいだ。


「それ絶対馬鹿にしてますよね」


はるか上で風にそよぐ茶髪を睨みつけると、乱暴だった手がぼさぼさにされたわたしの髪を整えるように優しくなった。


「可愛いって褒めてんだけど?」

「うっ、嘘ですね!」

「ひどいな雑草、決めつけるなよなー」


ああくそう、そこで優しく笑うんじゃない!


絶対からかってるって分かってるのに、不覚にもどきどきするでしょおおおお!


このたらしめ、ときめいたら責任とってくれるのか馬鹿ああ!!