反対言葉。

すべて埋め終わって、クッキー(買ってくれたので当然だけど、ほとんど高良さんが食べた)と紅茶もなくなった頃には三時をまわっていて。


……おなか、すいた。


「ありがとうございました」

「…………」


頭を下げたのに、おうともすんとも返事がない。


今まで話した感じでは、返事をしないなんてこと、ないと思うのだけど。


「……高良さん?」


いぶかしんで頭を上げたわたしに、少し考えて高良さんが言うことには。


「雑草、お前このあとどうするんだ。何か予定は」


ちなみにいまだ雑草呼びである。


スマホをいじり出した高良さんとわたしの周りの席にいた人たちも、お昼どきから離れた時間帯になるにつれて、徐々にまばらになりつつあった。


「校内を見て回るツアーみたいなのに参加して、あとは何もなければ帰ります」

「そうか」


頷いて、片付け始めたわたしの目をやけにはっきり見据えて、高良さんは言った。


「俺が案内してやろうか?」

「え、や、ツアーに……」


逃げ腰のわたしを鼻で笑う高良さん。ひどい。