何を考えるということもなくただぼうっとしている。

何かを考えてしまえば、俺の選択は正しかったのか、と考えてしまうから。

朝起きて、着替えて、食事をして、風呂に入って、寝る。

これを繰り返している。

女の子の夢が詰まっているような綺麗な洋服も、豪華なお風呂も、煌びやかな部屋も。きっと白羽学園よりもっと豪奢なモノなのだろう。

けれどもなぜか、白羽学園を初めて見たときほどの驚きも感動もなくて。

「なんで……だろ……」

祐一郎は無事で、だから俺も幸せ。そう、幸せなんだ。


なのに……なのに……



涙が出てくるのはなぜなんだろう……。