「心。抜けることってできるかな?」

「少しくらいならバレないんじゃない?
バレなきゃセーフだよ。
それに……」

チラッと麻里奈を見る心。

「心配なんでしょ?
誤魔化しとくから、ね」

と、微笑む。

「ありがと! じゃあお言葉に甘えて」

「俺も行く」

後ろから聞こえたその声。

「祐一郎、なんで?」

俺一人で十分なのに。

「お前だけじゃ道に迷って街中で遭難するぞ?」

「大丈夫だよ」

「徒歩十五分のコンビニに行って三時間帰ってこなかったのは誰だ?」

「……俺」

だけどあれは中学の頃だし。

雨が降ってきたので雨宿りしてから行こうとしたら十字路で方向感覚狂っちゃっただけ。決して俺のせいじゃない……ハズだ。

「それにここはお前の家の近所じゃねぇんだぞ?
地図見て行けるのか?」

「……ついてきて。自信なくなった」

悩みはしたが、今は麻里奈を病院に連れて行くことが第一。

祐一郎と三人で行くことにした。

……今度からは地図の見方覚えとこ。