組体操が崩れて死んでも良いと思ったくらいだよ。


お前に触れるなら俺はそれでも良いと思っていたよ。


そして練習を始めて朗報が来た。


体格的な事からか二段目のお前の上に俺が乗る事になったのだ。

お前は全く俺が喜んでるって知らなかっただろうな。

それで良いんだよ。


好きになるってそういう事だろう。


練習で俺はお前の肩の上に何度も乗ったが触るのが怖くてついつい無様な乗りかたになってしまった。


お前はそういう俺に苛ついていたよな。

悪かったが、こうして書く事によってお前に分かって欲しいんだよ。

ここでこうして書いてる事はある意味お前に対しての告白だよ。


卑怯な形の告白かも知れないが分かってくれよな。


練習は、なかなか上手く行かなかったが、本番で俺はとうとうやったよ。


お前のガッチリした肩に乗ってその上に小柄な奴が乗ろうとした時に俺はそれを決行した。


小柄な奴が乗っても俺は実は大丈夫だったんだよ。

だけど、ここで触らないと一生後悔すると思いお前の頭に少しバランスを崩したふりをして両手を置いたんだよ。


お前は気づかなかっただろう。

俺は両手をお前の頭に置きながら両手に全神経を集中させた。


あー!これだ!!俺は叫びそうになるのを堪えた。


ジョリジョリしたこの感触。

今では野球部も少し髪を伸ばしてるのにお前は五厘くらいの坊主頭だった。


俺は初めてそれを見た時から触りたかったんだ。


手を置いた時間は数秒だったかも知れないが、俺には永遠に思えたよ。


ジョリジョリした独特の感触が手を通して脳を突き抜けて行くようだった。


俺は手を離した瞬間から放心状態になっていたのだろう。


上に乗ってる奴の事なんて頭に無くバランスを崩してしまった。

練習を重ねた大きな組体操は見事に崩れた。