「たくしゃん……おつめの、あと」
「……爪?」
………………。
「「「嘘でしょ!?(だろ!?)」」」
数拍の沈黙のあと、あたし達の絶叫を交えた声が、山の各方面へと広がっていった。
ゆいいつ叫ばなかった律くんも眉間には珍しくシワがよっており、クールを裏返した無表情の仮面が壊れかけていた。
「この山、熊出んのかよ」
「熊も危険だが、イノシシも危険だぞ」
恭也とユキちゃんは渋い顔を見合わせ、一方の柚くんはすごい勢いで律くんへと抱きついた。
「律〜、僕、犬は好きだけど熊は嫌い〜っ」
「……騒ぐな。アライグマかもしれないだろう」
そこの2人。ちょっと危機感ズレてるよ。
周囲に警戒を走らせながらあたしは日向を抱き上げて、恐る恐る「どこでみたの?」と尋ねる。
「あっち……んと、じゅにこ」
日向は小さい手で1と2を作り、「う」と突き出してくる。
「12個!?」
日向が口を開けば開くほど、恐ろしいことしか出てこない。
怖い、怖いから。
戦闘性生活って人間と戦う前に、イノシシや熊と戦わなくちゃいけないの!?



