「日向が泣かずに抱かれてる……!?」
だからうるさいってば。
「日向が驚いちゃうじゃない……」と呆れ半分にため息をつき、あたしは日向を抱いたままバルコニーへと向かう。
「日向ほら、大丈夫だよ。怖くない怖くない。海、綺麗だから見てみよう?」
バルコニーへ出るとふわりと頬を撫でた風に驚いたのか、日向はピクッと身体を揺らして戸惑いがちに顔をあげた。
「……おみず……」
「うん、海だよ。綺麗でしょ?」
「……うん。カノカ、きれい」
んん?
なんだかあたしが綺麗みたいになっちゃってるけど……まあいっか。
しばらく風に当たってやっと落ち着きを取り戻してきた日向に笑いかけながら、あたしは先生の元へと戻る。
今度は" 驚かさないで "と精魂こめて睨みつけながら。



