ああっ……起こしてしまった……!
髪色と同じように色素の薄い大きな瞳があたしを捉え、ジーッとこちらを見つめること数秒。
「……んん」
まるで鈴が鳴るような声が鼓膜をくすぐった。
小さい紅葉のような手が伸びてきて、存在を確認するようにあたしの頬を包み込む。
冷たい。
けど、マシュマロみたいにふわふわな手のひらの感触。
「……?」
か、かわっ、可愛い……!!!
「あの、えっと、はじめまして。あたしはね、花乃香って言うんだ」
「……カノカ?」
「うん、カノカ」
まだ寝ぼけているのか、よろよろと起き上がって『抱っこ』と言わんばかりにこちらへ手を伸ばしてくるその子を、戸惑いながら抱き上げる。
か、軽っ……!
思った以上に軽くて驚きながら、あたしはベットに腰掛けてその子を膝の上に座らせた。
抱いてみると体の小ささがよくわかる。
子どもと関わったことはないから基準がわからないけれど、このくらいだと二歳……いや、三歳くらいだろうか。
「……カノカ」
「うん、あなたのお名前は?」
「ぼく……日向」
僕ってことは、男の子なのか。
そんなことを頭の隅っこで思いながら、あたしはフワフワと寝癖で揺れている髪の毛を撫でる。
猫毛なのか、一本一本が絹のように細くて柔らかい。
一方如月くんは、とつぜんの子どもの出現に驚いているのか、わずかに目を見開いたまま無言で首を傾けていた。



