「――ま、なんだか気が抜けたってことでいいか。おい恭也、いつまでそうしてるつもりだ? ほら俺たちも早く座るぞ」
「…………おい」
「なに」
神宮寺くんの声を懲りず華麗に無視して睨み合う霧谷くんと如月くん。
いや、睨んでるのは霧谷くんだけか。
あの様子だと、恐らく如月くんはなにも思っていない。
ただ単に無表情なだけだろう。
拉致があかないと思ったのか、神宮寺くんは無理やり霧谷くんを引きずってあたしの正面のソファに座らせた。
自然と向き合うような形になり、どうにも気まずくて視線をそらす。
「チッ」
「恭也。いい加減にしねぇとシバくぞ」
神宮寺くんの口から物騒な言葉が飛び出して、あたしは思わず飲んでいたオレンジジュースを噴き出しそうになった。
ほら、言わんこっちゃない。
お父さん……じゃなくてお母さんを怒らせたら怖いんだから!
いいや、いっそ怒られてしまえ!
「……ふん」
しかし、やっぱり神宮寺くんには敵わないらしい。
霧谷くんは仏頂面で顔を背け、むっつりと黙り込んでしまった。
保護者的な安心感とでもいえばいいだろうか。
神宮寺くん、ごめん。
なんか本当にお母さんに見えてきた。
「律も早くこっちおいでよ」
天宮くんが口の中でキャンディをころがしながら如月くんを呼ぶと、彼は無言でこちらへ歩いてくる。
ためらうことなくあたしの隣に腰をおろした如月くんは、まだ眠たかったのかあっという間に瞼を伏せて寝てしまった。



