「おいおい、天宮。いきなり女子に抱きつくんじゃない」
「だって僕、カワイイの大好きなんだもん! もう式の最中から抱きつきたくなっちゃったんだけど、律に止められてさぁ」
あたしの腕にぎゅっと抱きついてあつく語り始めた彼に、先生は苦笑いを零す。
いやいや、笑ってないで止めてよ先生!
「で、如月はどうした?」
「律? そのへんで寝てるよ〜。ほら」
天宮くんはあたしに抱きついたまま振り返り、部屋の奥を指さした。
その指先を追っていけば、恐らく輸入品であろうサイズの大きなソファで、すやすやと気持ちよさそうに眠っている人の姿を発見する。
「如月! 優雅に寝てないで起きろ!」
「……なに」
あきらかに不機嫌そうな声が聞こえてくる。
「なにじゃない。やっとメンバー揃ったから話はじめるぞ」
「勝手にやれば」
「お前なぁ……」
先生に叩き起された彼はなんとか起き上がって、うつらうつらしながら欠伸をかみ殺している。
これまでの流れ的にもう予想はしていたけれど、やっぱりこの人もイケメンだ。
……それも相当な。
「ねみぃ……」
寝起きの頭でぼーっとしているのか、眉間にしわをよせてうつらうつらとしている。
そんな姿なのに、ほかの誰とも被らない圧倒的カリスマオーラが滲み出ていて、あたしは思わず息を呑んだ。
……吸い込まれそう。
今の今まで寝ていたのにまったく癖のついていない、さらさらな黒髪。
二重ながら切れ長の目もどこまでも黒く深い海底のようなのに、なぜか恐さは感じない。
まるで作り物のように綺麗な日本男子。
……そのとき、ふと顔をあげた彼がこちらを見た。



