「ち、違います! この人が出会い頭にあたしのこと犬扱いした挙句、バカやらアホやらオタンコナスやら失礼極まりないことを言ってくるだけですっ!」
「はあ!? アホもオタンコナスも言ってねぇだろうが!」
「バカとか犬とか俺様とかわけわかんないこと言ってんだから同じよ!」
「同じじゃねーだろ! 被害妄想もいい加減にしろよ、テメェ!」
ほんとにこのヤンキー、口と目つきが悪すぎない!?
勢い余って拳でも飛んできそうだったので、あたしはとっさに銀髪の彼の後ろに隠れた。
ずりぃぞ!と声をあげた恭也に盾のうしろからベッと舌を出して見せる。
「……おい恭也、今の本当か?」
「だ、だったらなんだよ」
「ったく……これから一緒にやってく仲間だってのに。最初からそんなんじゃ嫌われるぞ。仲良くやれってさっきも言っただろうが」
……さっきからその仲間ってなんなの?
なんとも不穏な未来を予想せざるを得ない言葉に、あたしはそろっと銀髪の彼を見上げる。
「こんなバカとは組みたくねぇ」
「アホか。お前より成績上だろ」
ふたりの会話がどんどん信じたくない現実を肯定していくようで、じわりじわりと背筋に嫌な汗が流れるのを感じながら、あたしはおそるおそる声をあげた。



