「というか、あなただってそれなりにハデな髪色してるじゃない」
「ハデじゃねぇ、イケてんだよ。これだったらいくら寝ぐせついててもセットしてるように見えるからな」
つまりは寝ぐせを直すのが面倒だから、その髪色にしてるのね?
そりゃまた変わってる……と苦笑を浮かべたあたしを、男はジッと穴が開くほど観察し、それから馬鹿にしたように鼻で笑った。
「ふっ……バカな犬って感じだな」
「ばっ……!?」
バカ!? しかも犬!?
いったいどこにそんな要素があんのよ!
思わず英語で罵ってやろうかと思ったけれど、ぎりぎりところでなんとか飲み込んで、負けじと冷たく睨み返す。
彼は、そんなあたしを見下ろしながら剣呑な顔をした。
「こんなのが首席かよ。ぜってーなんかの手違いだろ」
「っ……!!」
こんなのとはなんだ! こんなのとは!!
初対面で人を馬鹿にするのもほどがある。
いや、もしかしたらこれがこいつの作戦なのかもしれない。
まだ戦闘生活の幕は落とされていないけれど油断は禁物だ。



