「人の顔見てアホづらしてんじゃねぇ。埋められてーのか」
えっ、あれ、埋める?
この人今もしかして埋めるって言った?
「はっ!?」
あたし、あなたのその整いすぎた顔にただ見惚れてただけなんですけど!?
唖然としながらもう一度彼の顔を観察すると、やっぱりびっくりするくらい整っていて、あたしは急にうるさくなった胸を押さえる。
真昼の陽光に照らされて、より一層はなやかな金髪……。
さらに絶妙な場所に配置された切れ長の目に、シュッと筋の取った鼻、薄く色味のある唇……おまけに180はあるだろう高身長……。
ああ、これは。
「外見偏差値がとてもお高いですね」
「あぁ?」
「beautifulです」
「やたらネイティブに発音してんじゃねぇ」
ただ思ったことを口にしただけなのに、またしても睨まれてしまった。
どうもここでは英語は嫌われるらしい。



